わかりやすい組織や仕組みを創る

事業承継の事例がわかりやすいと思うのですが、後継者にとって現経営者が、父親で、特にゼロからここまで発展させてきた創業者であるならば、その多くはカリスマ型のリーダーシップスタイルであって、社員もそんな経営者を慕ってここまでついてきたことでしょう。

この「カリスマ型の強烈なリーダーシップ」の特徴として、良くも悪くも何にしても自分の経験から方向を決め社員に指示する。そんな父に憧れ、そのやり方を間近でみてきた後継者が父親をモデルにカリスマ型を真似する。でもなかなかできるものではありません。

なので、後継者はどんなリーダーシップスタイルにするのか、悩むことでしょう。
そのヒントとなるのが「ボトムアップ型のリーダーシップ」であり、「答えは現場にある。」とコーチング的な考えのもと社員へ権限委譲して現場は社員に任せるスタイルを目指す。
またこのやり方を推奨するビジネス書も多くあり、これまでトップダウンだった組織が後継者がトップになり、社員へ権限委譲して任せることで社員は自主性を持って成長し、その力を120%発揮するなんて書いてるようなビジネス書もあります。

しかし、私が長年多くの事業承継に携わっている中で、ボトムアップ型を目指すには時間が必要であり、長期的な事業承継での話であり、短期間でガラっと変わるなんてこは、ごく稀なことだと思います。
なぜなら、これまでトップダウンで指示待ちであった社員が、急に自分で考え行動すると思えるでしょうか。

なので、事業承継直後の後継者の望ましいリーダーシップといえば、私は、戦略型リーダーシップだと考えます。

成果(売上・利益・成長率)の4割は経営戦略で決まるという一橋大学の調査結果があるように、戦略を後継者が取り入れることで少なからず、何かしらの結果はついてくると言えるでしょう。その時、計画段階ではボトムアップで社員の意見を取り入れ、数値的目標や実行段階ではトップダウンでやるぞーとリーダーリップを発揮し、改善段階ではまたボトムアップでというようなPDCAサイクルを行うのです。

この戦略型リーダーシップを発揮する上で必要となる5つの要素を明らかにすると

⒈ミッション(理念)

⒉バリュー(存在の価値)

⒊ビジョン(目標)

⒋ストラテジー(計画と戦略)

⒌ゴール(達成)

この要素を明確にし、

□現状のいいところ、守るべきもの(引き継ぐもの)

□先代経営者だから運営できたもの(変えるもの)

□これから必要となるもの(新たなもの)

□後継者の右腕の育成と社員育成(成長するもの)

といったことを可視化し、社員にわかりやすい仕組みを作る。

 

経営理念・ビジョン・戦略では

・先代の想い

・必要となる見直しと具体策

・これから必要となる社員像を行動指針で浸透させる

経営計画・行動計画では

・3か年の中期経営計画

・単年度経営・行動計画

・会議体系の設計(経営会議、部門(店舗)会議、プロジェクト会議)

・進捗管理と改善の機会の実施

業績管理では

・月次決算の実施

・部門(店舗)等予算管理

・業績管理制度

などなどありますが、最も重要な要素は人事制度だと考えます。

そのためには、まずSWOT分析により今後の自社のビジョン・未来戦略を検討し、それに見合う人事制度の構築が望まれます。

特に行動目標や現状の業績課題の解決などの目標制度と人事評価の連動などは、業績アップやエンゲージメント向上などを実現する仕組みだと言えます。「働き方改革」を国策の中心として推進する中では、どのような人事システムを構築していくか、戦略型リーダーとして必須アイテムであるこの人事制度の構築をこの機会に考えてみましょう。

PAGE TOP